橋梁点検は、道路維持管理業務の一環として管理する橋梁の現状を把握し、安全性や耐荷力・耐久性に影響すると考えられる損傷を早期に発見することにより、常に橋梁を良好な状態に保全し安全かつ円滑な交通を確保するとともに、点検結果などで得られた情報を蓄積することにより効率的な維持管理を行うことを目的として行っています。
今回の本稿では、我々が行っている橋梁現地調査についてご紹介させていただきます。
補修・補強設計の内容や現地の状況に合わせて最適な調査方法を採用します。調査の基本は近接目視です。今回の橋はボックスカルバート橋なので、川の水深も比較的に低く橋自体も低かったため、高所作業車や足場などを架設する必要がありませんでしたので、スムーズに現地調査へ着手することが可能でした。
橋梁等構造物の作られた年代によっては、設計図書が「残っていない」「あっても最終的なものでない」場合も少なくありません。そのために現地での直接⼨法測定を⾏いました。その他にも、形状調査・変状調査・コア採取・はつり調査・舗装開削を行いました。
形状調査では、既存資料はありましたが、正確な寸法・形状を確かめるため、現地で直接測定を行って必要なデータを取得しました。
変状調査では、ひび割れ・浮き・剥離・鉄筋露出を確認するため近接目視と直接打診を行い変状を調査しました。ひび割れ・浮き・剥離・鉄筋露出等の何か異状が見られたところはチョーキングを施し、スケッチや写真を撮り記録を行うとともに、現地での変状調査結果を基に社内で損傷図を作成します。また、剥落の危険性のある部位などはこの段階で第三者予防措置の応急処置(叩き落とし)を実施していきます。
現地の損傷状況を基にコア採取位置やはつり調査の実施位置を決定します。続いて鉄筋探査により鉄筋位置を調査し、次の工程のはつり調査やコア採取の詳細位置を確定させていきます。この作業ではストラクチャスキャンを使い鉄筋の位置を出してチョーキングを実施しました。
コア採取では、中性化試験・静弾性係数試験・圧縮強度試験をするための試験試料を採取します。鉄筋探査により詳細に確定した採取位置にて、コアドリルを使い採取しました。コアマシンを撤去し、円筒状にあいたドリル跡にくさびを打ち込み採取完了です。
はつり調査では、コンクリート中の鉄筋径、被り深さや鉄筋腐食状態確認のため、コアを採取した近くの鉄筋の位置で、エアカッターや電動ハンマを使い、コンクリートの一部をはつり出して直接計測を行いました。
復旧では、コア採取とはつり調査でボックスに穴が開いてしまった所をコンクリートでもう一度埋め直しをしました。一度にすべての穴にコンクリートを流し込むのではなく、順々に埋めていきました。
今回のボックス橋ではボックスの頂版部分にひび割れが多かったため、車道上を通行する車両による損傷が疑われた為に舗装を開削し、直接ボックス頂版部を確認するために実施しました。開削して見えたボックス頂版部には変状は確認されませんでした。
復旧では、最初掘った時に出た土を戻してから、振動コンパクターを使い押しつぶし、その上からアスファルトを転圧を行うことで硬化していきます。
橋梁補修点検は、何十年とこの先も続いていく業務だと思います。その中で我々は、現在当社が持っている技術、そしてこれから身に着けていく技術を駆使して貢献します。構造物の現地調査は、全国対応いたしますのでご依頼ください。