スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)の概要と特徴

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スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)とは?

2020年10月26日にJIS規格が改正され、旧スウェーデン式サウンディング試験(Swedish Sounding Test)は、「スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)」として新たに規定されました。SWS試験は、地盤の支持力や硬軟を簡易的に調べるための調査方法で、荷重による静的な貫入と回転による貫入を組み合わせて地盤の特性を評価する原位置試験です。

この試験では、地盤の静的貫入抵抗を測定し、土の硬軟や締まり具合を判定します。また、地層構成を把握し、地盤の支持力を算出することが主な目的です。手軽に地盤の状態を評価できることから、小規模な建築物の基礎設計や地盤改良の初期段階で多く活用されています。

手動式SWS試験装置による試験状況

SWS試験の方法と手順

SWS試験は、次のような手順で行います。

  1. スクリューポイントの設置
    直径約19mmのスクリューポイントをロッドの先端に取り付け、試験機材をセットします。ロッドは地盤に対して垂直に設置されます。
  2. 荷重による静的貫入の確認
    ロッドに50N(15kgf)から始めて、250N(25kgf)、500N(50kgf)と段階的に荷重を増加させます。最大で1kN(100kgf)まで載荷し、ロッドが地盤に貫入するかどうかを確認します。貫入量や貫入速度を測定し、荷重ごとの地盤反応を記録します。
  3. 回転による貫入の実施
    1kNの荷重でもロッドが貫入しない場合、ハンドルを取り付けてロッドを右回りに回転させ、25cmの目盛り線まで貫入させます。この際に必要な半回転数を記録します。この操作を深度10mに達するまで繰り返します。
  4. 特殊な状況への対応
    ・貫入速度が急に速くなった場合:荷重のみで貫入が可能か確認し、状況を記録。
    ・貫入速度が遅くなった場合:その時点での貫入量と半回転数を記録して作業を継続。
  5. 測定終了の条件
    以下のいずれかの条件に達した場合、試験を終了します:
     ・深度10mに到達。
     ・半回転数が50回以上となり、硬い地盤に到達。
     ・ロッドに強い反発力が発生。
     ・スクリューポイントが石などに接触して空転。
フルオートSWS試験装置による試験状況
SWS試験実施状況

SWS試験の長所と短所

長所

  • 調査期間が短い:迅速にデータを収集可能。
  • コストが安価:ボーリング調査に比べ費用を大幅に抑えられる。
  • 支持力の算出が可能:測定値をもとに換算N値を算出し、地盤の支持力を評価。
  • 柔軟な対応力:狭い場所や限られたスペースでの調査が可能。
  • 地盤変化の把握が容易:敷地の4隅と中央の計5か所で調査を行うため、地盤構成の変化を詳細に捉えられる。
  • ある程度の土質の把握も可能:回転貫入によりハンドルへの感触、音等で大別は可能
  • 水位が測定可能:簡易的ではあるがロッド付着水により水位も測定可能

短所

  • 土のサンプル採取不可:ボーリング調査のように土質を直接分析できない。
  • 硬い地盤に不向き:密な砂質地盤(N値≧30程度), 礫層, 玉石層, 固結地盤 には適用できません。
  • 深深度の信頼性低下:深度5〜10m以上ではロッドの摩擦抵抗が増加し、データ精度が下がる。
  • 硬い→締まった地盤に達すると貫入困難または不能となり、その厚さを確認できない。すなわち杭の支持層の確認は難しい。
  • 試験者によって判定差が生じる:試験者によって、それぞれの地層の厚みや状況の判定に差が生じやすい。

SWS試験の活用シーン

SWS試験は、小規模な建築物や軽量構造物の基礎設計、改良地盤の簡易調査に適しています。特に、調査コストを抑えたい場合や短期間で地盤の概要を把握する必要があるプロジェクトに最適です。

ただし、深度が10mを超える場合や液状化判定、また硬い地盤が予測される現場では、ボーリング調査や他の調査法と併用することが推奨されます。SWS試験を補助的な手法として活用することで、より正確な地盤評価が可能となります。

SWS試験結果からの想定断面図

まとめ

スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)は、簡易でありながら有用性の高い地盤調査法です。短期間でコストを抑えつつ、支持力や地盤の硬軟を評価できるため、多くのプロジェクトで採用されています。一方で、深度や硬い地層の調査には限界があるため、用途や現場条件を見極めた上で活用することが重要です。地盤調査を効率的に進める一助として、SWS試験の導入を検討してみてはいかがでしょうか。