まず、「災害時協力井戸」とは、地震などの災害によって水道の給水が停止した際に、所有する井戸を活用して生活用水(トイレ、洗濯、掃除などに使用する水)を無償で提供する仕組みです。(鳥取県公式ホームページより引用)この取り組みは、災害時に地域住民の生活を支えるための重要なインフラの一環として位置づけられています。
弊社が「災害時協力井戸」を設置するきっかけとなったのは、2016年10月21日に発生した鳥取県中部地震です。この地震はマグニチュード6.6、震源の深さ11km、最大震度6弱という規模で発生しました。約15,000棟の住宅が屋根瓦や壁の崩壊などの被害を受け、特に被害が大きかった地域では多くの住民が避難生活を余儀なくされました。重軽傷者は32名にのぼりましたが、幸いにも死者は出ませんでした。
地震の際、弊社はインフラの守り手としての責任を果たすため、翌日早朝より職員を派遣し、被害状況の調査業務に取り組みました。しかし同時に、本社周辺の地域一帯で水道の供給が停止し、社員自身も断水に直面する事態が発生しました。そのため、自宅が断水していない社員がペットボトルに水を汲んで出社するなど、業務を継続するために社員同士で助け合いながら対応しました。また、職員の家族への声掛けや、職員の自宅へのブルーシートの設置をはじめとした様々な支援を行い、活動を進めました。
しかし、職員に対してはこのような対応することができたが、本社のある東巌城町地域住民の方々に対して十分な援助ができなかったことは、社会インフラを支える企業として深い悔いを残す経験となりました。この教訓を踏まえ、災害時に地域住民の皆様へ貢献できる体制を整えることを目指し、「災害時協力井戸」を設置するに至りました。この井戸は、災害時に生活用水を供給することで、地域の安心と安全を支えるための取り組みの一環です。
「災害時協力井戸」の設置にあたっては、弊社の調査課試錐班がボーリングマシンによる井戸掘りを行い、設計課が井戸基礎部および井戸本体の設計・施工を担当しました。井戸の設置作業は地質情報を基に慎重に進められ、2021年3月に完成しました。
設置にあたっては、地下水の安定供給が可能な位置を選定し、長期的に使用可能な井戸の基礎部を頑丈に設計しました。また、井戸本体は操作が簡便で、災害時に迅速な対応が可能な仕様となっています。この井戸は現在、倉吉市に正式に「災害時協力井戸」として登録されており、災害時には地域住民の方々に無償で生活用水を提供できる準備が整っています。
幸いなことに、井戸設置以降、鳥取県中部では大規模な地震は発生しておりません。しかし、全国各地で大規模災害が頻発する中、地域住民の防災意識は年々高まっています。そのような状況下で、弊社の「災害時協力井戸」が災害時の重要なライフラインとして地域社会を支える存在となることを、改めて認識しています。
弊社は、社会インフラを支える企業として、災害時の支援体制をより強化し、地域の安全と安心を提供する役割を果たしてまいります。また、災害発生時には迅速な対応を心掛け、被害を最小限に抑えるための取り組みを継続していく所存です。
この「災害時協力井戸」を通じて、地域住民の皆様に貢献できる体制を整えることで、企業としての社会的責任を果たすとともに、地域社会から信頼される存在であり続けたいと考えています。
弊社の「災害時協力井戸」は、過去の災害から得た教訓を基に設置されたものです。地域住民の皆様にとって安心できる存在となり、災害時における生活の一助となることを目指しています。今後とも、地域とともに歩み、信頼される企業を目指して努力を重ねてまいります。
引き続き、弊社の取り組みにご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。