調査業務3Dモデル作成

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目的

 老朽化した水道管の布設替え工事においては、工事の影響を最小限に抑えるため、周辺住居や建物、附属物の事前調査が非常に重要です。工事対象区間の近隣にある建物や構造物は、地下で行われる水道管の布設替え工事により、地盤に何らかの影響を受ける可能性があります。例えば、地盤の沈下やひび割れ、建物の傾きなどが発生することが考えられます。これらの影響を正確に把握するために、事前に調査を行い、施工範囲周辺の現況を詳細に記録することが求められます。
そのため、この調査業務では、事前に周辺地域の状況を把握することで、工事後に万が一発生する損傷が、工事によるものか、あるいはそれ以前から存在していた問題であるのかを客観的に評価できるようにします。これにより、工事後の責任の所在を明確にし、周辺住民や関係者の安心を確保することができます。加えて、工事に起因するリスクを適切に管理するための重要な手段ともなります。
調査には、周辺建物や構造物のひび割れ、傾き、沈下、附属物の状態などを確認し、それらを写真や計測データとして記録する手法が用いられます。この調査の中で特に注目すべきなのが、3D計測技術を使った3D現況図の作成です。これにより、施工範囲全線にわたる詳細なデータを収集することができ、施工後の比較がしやすくなります。3Dモデルは、工事後に損傷が発生した場合、その原因を特定するための貴重な資料となります。

具体的な内容

 3Dモデル作成のプロセスは、現場調査からデータ解析、最終的な納品に至るまで、多岐にわたる作業を含みます。この業務を効果的に進めるためには、現場での計画立案が重要となります。
現場状況を事前に確認し、効率的に質の良い3Dモデルを作成するための計画を立てます。

1.現場確認と計画立案
 3Dモデル作成において最も重要なステップの一つは、現場での調査前に十分に計画を立てることです。この段階では、現場の状況を確認し、どのように写真を撮影するかを事前に決めておく必要があります。特に、写真の枚数を最小限に抑えつつ、質の高いモデルを作成するための計画を立てることが大切です。
現場調査は一度きりの作業ではなく、作業効率を最大化するために、どの位置から写真を撮るか、どの角度から撮影するか、どの程度の重複を持たせるべきかなどを事前に検討します。この計画をしっかり立てることで、現場での写真撮影がスムーズに行われ、作業全体の効率が大きく向上します。

2.現場での写真撮影
 実際に現場に出向き、計画に従って写真撮影を行います。ここで、撮影する際に特に気を付けるべきポイントを3つあげます。

  • オーバーサイドラップの重要性
    3Dモデルを正確に作成するために、オーバーサイドラップ(写真同士の重なり具合)は非常に  重要です。写真同士が適切に重なり合っていないと、ソフトウェアが正確に位置を特定できず、モデルの構築に失敗します。そのため、撮影時には重なり具合を意識し、写真の方向や角度を慎重に調整することが求められます。
  • 物体との距離の一定化
    写真撮影において、物体との距離が一定であることも非常に重要です。距離が変動してしまうと、3Dモデルの精度が下がり、正確な再現ができません。特に建物や構造物の撮影においては、一定の距離を保って撮影するよう心掛けます。
  • 写真枚数の最小化
    3Dモデルを作成する際に、写真の枚数が多すぎると、処理時間が非常に長くなり、効率が悪くなります。そのため、どの部分の撮影が最も重要で、どこは省略しても問題ないかを判断する能力が求められます。無駄な撮影を避けることで、作業を迅速に進めることができます。

3.3Dモデル作成の手順
 現場で撮影した写真を元に、3Dモデルを作成するプロセスは、以下の手順で進められます。

  1. 写真のアライメント
    撮影した写真を基に、写真同士の位置合わせを行います。この段階では、写真間の対応点をソフトウェアに認識させ、正確な位置関係を確立します。
  2. モデル構築
    アライメントが完了した後、実際の3Dモデルの構築が始まります。この段階では、写真から得られた情報を基に、立体的な形状を作り上げます。
  3. 再アライメントと最適化
    初期のアライメントを再度確認し、必要に応じて最適化します。最適化を行うことで、精度が向上し、より正確なモデルが出来上がります。
  4. ポイントクラウド構築
    3D空間上での正確な位置を示す「ポイントクラウド」を作成します。このデータは、実際の現場の状態を忠実に反映するための重要な要素となります。
  5. モデル構築の完了
    最終的に、点群データを基に立体的な構造物を形成し、完成した3Dモデルが得られます。
  6. テクスチャー構築
    モデルに外観のディテール(テクスチャー)を施すことで、より実際の現場に近い見た目を再現します。
  7. タイルモデル構築
    大規模なエリアの場合、モデルを複数のタイル(区画)に分けて処理することがあります。これにより、大規模なデータの処理が効率化され、作業時間を短縮することができます。
  8. 寸法設定
    最後に、モデルに寸法を設定し、現場の実際のサイズに合わせた正確なデータを提供します。

4.結果
 3Dモデルが完成した後、最終的にこれを関係者に納品します。納品物は、3Dデータを含むファイルと、それを閲覧するためのビューワーアプリです。このビューワーアプリを利用することで、工事関係者や周辺住民が3Dモデルを簡単に確認でき、現場の状態を視覚的に理解することができます。
また、工事後に発生する可能性のある損傷を、事前に作成した3Dモデルと比較することで、その原因が工事によるものかどうかを客観的に評価できます。このように、3Dモデルを活用することにより、工事後のリスクを低減し、関係者に安心感を提供することができます。

下記の画像が今回実際に作成したモデルです。

まとめ

 老朽化した水道管の布設替え工事における事前調査では、3Dモデルの作成が重要な役割を果たします。工事による周辺への影響を最小限に抑えるために、事前に周辺建物や構造物の状態を詳細に記録し、その情報を基に高精度な3Dモデルを作成することは、リスク管理と住民への配慮のために欠かせません。このような調査業務を通じて、工事後に発生する可能性のある問題を事前に予測し、客観的な評価を行うことで、工事に関わるすべての関係者が安心して工事を進めることができます。

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例えば、老朽化した水道管の布設替え工事における周辺住居や建物の事前調査などでは、3D計測技術を活用して、精度高い現況図を提供することが可能です。これにより、工事後の影響を客観的に把握でき、周辺住民の皆様にも安心感を与えることができます。
もし、貴社でのプロジェクトや工事において、3Dモデルの作成が必要な場合は、ぜひご連絡ください。迅速で効率的に、高品質な3Dデータをお届けいたします。どんなご依頼にも柔軟に対応いたしますので、まずはお気軽にご相談ください

主なサービス内容

  • 3D現況図作成
  • 3D点群データの生成と解析
  • 3Dモデル構築(建物、構造物、周辺環境)
  • 計測データの可視化と分析
  • 工事前後の状態比較によるリスク評価3D点群データの生成と解析
  • 高精度な3Dモデルと寸法設定

これからも、より多くの方々に3D技術を活用した業務を提供し、精度高く、かつ効率的な作業をサポートしていきたいと考えております。ご興味がある方は、ぜひご連絡いただけますと幸いです。
どうぞ、よろしくお願いいたします。